キミの隣で、モラトリアム

虚実ないまぜの月イチ更新

住処の宇宙

団地やマンションのような、住居が究極に密集したあの四角い箱が好きなのだけれど、その理由というか、それに抱く気持ちをどう説明すればいいか考えていて、いつもぼんやりと自分にプレゼンをしている。
もっとも、外見が好きというのは前提条件として存在している。だって素晴らしいと思わない?あの形。べつにわたしは建築オタクになるつもりは無いし、申し訳ないけど、なりたくも無いのだけれど、それでも、あの四角い箱が整然と並べられて密集しているのには胸のトキメキを感じざるを得ない。あと、外階段とか非常階段のフォルムが相当に好き。台形っぽいのが、カクッカクッ、って交互にどこまでも存在している感じがたまらない。8階くらいまであると最高。築30~40年あたりがとてもよくて、あの元は白かったのだろうけれど灰色に汚されてしまった感じが時代を感じてノスタルジー広がる。
ただ、そこはあくまで前提条件なのだ。
団地やマンションをみると、なんだか、ワクワクして、それでもってソワソワする。
それは何故かっていうのは、きっと、そこにはその四角い窓の数だけの住まいがあって、人の営みがそれだけ存在しているからなのだろう。50戸あったら50なりの生活があって、毎日があって、それだけの、考えも何もかも違う人間があの狭い箱の中でも日々を送ってるんだと、思うとそりゃ、好奇心は旺盛になるし、それに動物的本能は違和感を覚えてソワソワしてしまう。
それでも、50の私の知らない晩御飯があって、50の私の知らないシャンプーの匂いがして、50の私の知らない布団のガラが存在している世界がこんなにも近くにあるのはすごく心惹かれる。
それはめちゃくちゃ面白いし、それは演劇だ。
私の知らないところでらあんな狭い縦に細い箱のような建物の中で、私の知らないドラマが着々と同時進行していることに若干の恐怖を感じつつも、それは魅力的である。
それだから私は団地やマンションに惹かれるのかもしれない。