キミの隣で、モラトリアム

虚実ないまぜインターネットの墓標

狂った時計は、もう、戻んないよ

あれ、もう一週間が過ぎるの?と思ったのは何故だろうか。あれ、詩のボクシング谷川俊太郎に物凄く衝撃を受けたのはいつだっけ、あぁ、もう一昨日の話だなんだそうなんだ。あれ、図書館の帰りに会いたくない人に会ったのはいつだっけ、なんだ、一昨昨日の話だ。そうなんだ。一週間が瞬く間に過ぎてゆく。時間を素晴らしく無駄に使う日々を過ごしている。

毎日の過ぎ行く速さに驚きを覚えたのはいつだっけ。
きっと、最初に感じたのはあの時だ。小学校の頃、一番仲が良かった子とクラスが初めて別れた5年生。春の少し肌寒い放課後、だんだんおちていく日を眺めながら、彼女のクラスの帰りの会が終わるのを待っている時間はとても長かったのを覚えている。遠目でクラスの様子を覗いて、なんだ、案外私がいなくても上手くやってんじゃん、なんてよく分からない事、嫉妬とも呼べないほの暗い何かを感じながら、待っていたあの時間は、パラレルワールドだった。次元が歪むのだ。ぐにゃりと間延びして半永久的に私に触れる。春なんて終わればいい、と思って夕方の校庭を窓から眺めていた。
それでも、ある日、掃除をしていたら、窓の向こうが夏だったことに気づいた。君を待って、放課後のクラスに居残っていたけれど、気づいたら、夏だった。いつの間に春が終わったかなんて気づけずに。あんなに君を待っている時間は長かったのに、こんなにもあっさり夏が来てしまったことに驚きを隠せずにいた。
それから先、毎日は二倍速の速さで過ぎ去っていった。たわいの無いおしゃべりも、校長先生のつまんない話も、一人ぼっちの塾も全部二倍速。変わっていくのが怖かったって言ったら一番わかりやすい?でもそれだけじゃしっくりこないよね。知ってる。ただ、あれから毎日、毎月、毎年、だんだんと時間が、一生体感速度が速くなっていくんだ。
特に何も素晴らしいことを成し遂げていない私の極々平凡な、いや、それどころか、最低限の成長過程すらまともに踏破出来ていない人生はこのまま気づいたら終わってしまっているのではないかと思ってしまう。だって、そうなんだ。気づいたら、中学を卒業していた。春は過ぎ去り、夏は死に、秋は姿も見せず、冬が訪れる。こんなにも寂しいことがあるのか。
私、まだ、あの子の隣でバカやっていた気がするんだけれど、あれはもう、二年も前のこと?一生永遠14歳でいいよ、もう。大人にはならなくていい、なんて言うと陳腐だと思うだろうけれど、ほんとなんだこれ。胸を焦がす焦燥感は恋だけでいいよ。なんて言っても恋なんてしてないのだけれど。
世界五分前仮説があったって私は何度でも思うのだろう、このまんまでいいよ、って。まぁ、そういう風に創られるってだけの話だ。
世界が、速く過ぎ去る恐怖は何にも変え難い。自分の中身はまだまだ、あの時間軸には追いついていない、まだもう少し、このままで止まっていたい。
と、言うか、時代の流れも早すぎると思うの。
更新されるスピードが瞬間で信じられないことばかりだ。目まぐるしく変わる世界は息苦しいね。もうちょい、閉じた世界に居させて。