キミの隣で、モラトリアム

虚実ないまぜインターネットの墓標

2017-01-01から1年間の記事一覧

ifと羨望と空想対話

「君は昔の私に似ている」 彼女は懐かしそうにわたしを見て言った。 「大丈夫です、わたし、Oさんみたいに聡明では無いですから」 「でも大体の事は分かってるんでしょ」 「分かっている、ふりをしているだけです。内心ひやひやしてるんですよ、いつバレるか…

神様になれなかった夏

神様になれないまま夏を迎えてしまった。 小さい頃、本で博愛主義と言う言葉を見つけてからみんなが平等に好きな人になりたかった。男も女も老人も若者も貧富も何もかも全て幸せであってほしいと思ったし、私にはそう願う義務があると思った。 サメジママミ…

ニッポン懐古録

日本は強かった。 高度経済成長期からバブルが弾けるまでのあの間、日本は強かった。先進国の仲間入りを果たし貿易も次々と行い、ものづくり大国なんて呼ばれながら、経済は確かに成長し国内は豊かになっていった。ただ、実質的な強さと言うより、もっと根幹…

別離の季

ここ数日、北の町で寝起きをしていた。築50年の木造建築はやはり風を通すようで、どこか身体に染み込む冷たさがあった。あの町ではコートを着ないと外に出られない、もう春なのに。着いた日の午後、風花が舞った。以前より弱くなった握力で右腕に掴まりなが…

コズミック死生観

狭いせまい半径二キロの円周内、これが私の宇宙です、いつもと同じオービット、リロードされない通学路、窓から眺める鈍色は相も変わらず素っ気ない。見知らぬ消失、昨日の傷跡、タバコ屋さんちのわんちゃん死んじゃったんだってさ、抉られたコンクリート、…