キミの隣で、モラトリアム

虚実ないまぜインターネットの墓標

ファミリーバイアス

偏向というのは実に恐ろしいもので、渦中にいる人物はその歪みにさえ気付いていないのだ。では、どうやってその歪みを認識するかというと、外側にいる他者から顔をひっぱたかれるしかない。今回私の頬をはたいたのは、幸福な家庭、もしくは、そんな家庭に憧…

ディスタンスfrom盛夏

有り体に言って仕舞えば,結局人間は肉の塊なのだ。身に纏う些細な布切れも,わずかばかりの表情もささやかな言葉も全て剥ぎ取って仕舞えば薄い皮膚に包まれた肉の塊に過ぎない。このことに気付いたのは夏の盛りのことだった。どうしようもなく生を感じさせ…

過去、現在、インターネット

ここだけでなら生きられるような気がしてしまう。インターネットの中、私の意識だけが集約されたこのページ。記憶であり、記録であり、理想であり、空想である。なりたい私、なれなかった私、青くて無限にどこまで行けそうな深く遠い海の中で無数の限りなく…

グッドバイ、はいすくーるdays

あと10日で卒業なんだって、知ってた?知らなかった、制服を着て街を闊歩できるのも、教師と親しいようなよそよそしいような謎の雰囲気で話せるのも、いつもの皆がいてどうでも良いことを話せるのも、行ったら必ず私の机があるのも、大人でも子どもでもない…

ifと羨望と空想対話

「君は昔の私に似ている」 彼女は懐かしそうにわたしを見て言った。 「大丈夫です、わたし、Oさんみたいに聡明では無いですから」 「でも大体の事は分かってるんでしょ」 「分かっている、ふりをしているだけです。内心ひやひやしてるんですよ、いつバレるか…

神様になれなかった夏

神様になれないまま夏を迎えてしまった。 小さい頃、本で博愛主義と言う言葉を見つけてからみんなが平等に好きな人になりたかった。男も女も老人も若者も貧富も何もかも全て幸せであってほしいと思ったし、私にはそう願う義務があると思った。 サメジママミ…

ニッポン懐古録

日本は強かった。 高度経済成長期からバブルが弾けるまでのあの間、日本は強かった。先進国の仲間入りを果たし貿易も次々と行い、ものづくり大国なんて呼ばれながら、経済は確かに成長し国内は豊かになっていった。ただ、実質的な強さと言うより、もっと根幹…

別離の季

ここ数日、北の町で寝起きをしていた。築50年の木造建築はやはり風を通すようで、どこか身体に染み込む冷たさがあった。あの町ではコートを着ないと外に出られない、もう春なのに。着いた日の午後、風花が舞った。以前より弱くなった握力で右腕に掴まりなが…

コズミック死生観

狭いせまい半径二キロの円周内、これが私の宇宙です、いつもと同じオービット、リロードされない通学路、窓から眺める鈍色は相も変わらず素っ気ない。見知らぬ消失、昨日の傷跡、タバコ屋さんちのわんちゃん死んじゃったんだってさ、抉られたコンクリート、…

あの子の話

今はもう忘れてしまったけれど、左手と右手にはそれぞれ名前があった。 ひとつの名前を半分に分けた名前だった、不格好だけど居心地の良い名前だった、あの子がつけてくれた名前だった。もうおそらく今あの子に聞いても、何も覚えていないだろうけれど、私は…

小規模エスケープ世界革命

どこかに行きたいってのと、ここにはいたくないってのは同意義だって話を聞いた。 わずか1.2年前の私は本当にどこかへ行きたかった、見知らぬ電車に飛び乗って知らない町へと行きたかった、毎日おんなじ風景の通学路に嫌気がさしてた、「ここじゃないどこか…

世界の果てとQ&A

あらやだ、死に場所もわからずにここまでやってきたの、ここに墓標を立てるつもりなの。あらそう、あなたここで死ぬのね、かなしい、って言えばいいのかしら、私あなたの死についての言葉を持ち合わせていないのごめんなさい。それでも多少の事はわかるわ、…

スパナで世界をこじあけて

たすけてたすけてたすけて、頭が痛いしびれるようだめまいがするここは宇宙、目と鼻の先で星がはじけたとこ、ピカピカのキラキラは砂となって光となってわたしの顔に降り注ぐ、世界は反転してぐるりと回って混ざりあって全てが等しくなる無になる、まぁぶる…

さよなら、僕の永遠

『ぼくたちは何だかすべて忘れてしまうね』 失ったものよりも得られるものの方が大きい、って話はよく聞くけど、そんな都合良く感情に整理がつくわけない。引っ越すんなら荷物は捨てなきゃならないし、進化を遂げたら昔の殻は脱ぎ捨てる、先に進むなら取捨選…

閉鎖的脳内フルカラー補正

また、一つ星が消滅してしまったのだ。星が消える瞬間はいつも静かで、だから、いつまでたっても私はその一瞬を見逃してしまう。もうじき終わるだろう、とは分かっていたのに、こちらへ届く光が前よりずっと弱々しくささやかであったのは知っていたのに、見…

おはよう、むこうとこちら

適当な電車に乗って、始発駅から終点まで揺られる遊びをしていた。 始発であるその駅は、典型的なニュータウンで、比較的新しめの四角いマンションや、ビルや、おしゃれなショッピングモールが乱立している所だった。そのくせ、少し遠くを眺めると鬱蒼とした…

私が救われて、また誰かを救うのか、という話

「いや、あなたとあの人が実は似てるのはなんとなく分かってたけどさ」 いやさね、確かに似ているのかもしれないと思ったことは何度かはありますよ、例えば、誰かが言った言葉とかテレビの口調を気軽に真似してしゃべるとか、誰かに語りかける時の言葉の出し…

終末期には何色の夢を見る

理想論として挙げるならば、全人類が消え失せた世界で、私1人が静かに生きていて、砂の城が崩れるみたくコンクリのビル街が、小学校が、コンビニが、君がいたはずのマンションが、ほろほろと崩壊していく様子が見たい。その粒子はさらさらと風になびくだろう…

春の病に治療は必要ですか

生きるのは義務ではないが、今までの自分を全て否定してしまうのは罪であり、冒涜だ。なんて適当にでっち上げてみた。なんで、死んじゃいけないの、って屋上が好きなあの子に聞かれた時の答えを探している。きっとこれじゃあの子は納得出来ないね。まだ、届…

君じゃ、星にはなれなかった、ね

嫌いだから殺すのか、好きだから殺すのかでずいぶんと人間性が変わってくると思うのだが、(ってか、そもそも殺す時点で人間性はかなり問われている)嫌いだから死ぬ、か、好きだから死ぬ、の二つが今の流行りなの?そんな気がするそれだけだけど。憎しみで人…

時間的有効性の束縛

未来を知ることが出来る、と言われても別にどうでもいい。タイムマシンで未来に行こうよ!とかなっても多分断るだろう。それはひたすら後ろ向きな理由で今がいいから。今のままでいたいからに過ぎない。あ、占いとかは好きです。さほど当たらない割に、緩や…

狂った時計は、もう、戻んないよ

あれ、もう一週間が過ぎるの?と思ったのは何故だろうか。あれ、詩のボクシングの谷川俊太郎に物凄く衝撃を受けたのはいつだっけ、あぁ、もう一昨日の話だなんだそうなんだ。あれ、図書館の帰りに会いたくない人に会ったのはいつだっけ、なんだ、一昨昨日の…

ノアの箱舟に乗り遅れたらどうすればいい

唐突に一人暮らしがしたくなって、賃貸をつらつらとみる遊びをしていた。賃貸は安い順に見ていくと到底人間など暮らせないのではないか、と思えるボロアパートとかが出てきてかなり面白い。窓ガラスがすりガラスだったり、エアコンが縦長い壁にひっついてる…

前方不注意、ここから先は自由です、どうぞ

自主性という名のもとに成り立った強制労働が大嫌いである。多分、もちろんのこと、殆どの人が嫌いであろうけれど。好きなことやっていいんだよ、って言いつつも暗黙のルールがあって、そのレールからは絶対外れてはいけない、無言の圧力。そういうのあると…

住処の宇宙

団地やマンションのような、住居が究極に密集したあの四角い箱が好きなのだけれど、その理由というか、それに抱く気持ちをどう説明すればいいか考えていて、いつもぼんやりと自分にプレゼンをしている。もっとも、外見が好きというのは前提条件として存在し…