2016-01-01から1年間の記事一覧
今はもう忘れてしまったけれど、左手と右手にはそれぞれ名前があった。 ひとつの名前を半分に分けた名前だった、不格好だけど居心地の良い名前だった、あの子がつけてくれた名前だった。もうおそらく今あの子に聞いても、何も覚えていないだろうけれど、私は…
どこかに行きたいってのと、ここにはいたくないってのは同意義だって話を聞いた。 わずか1.2年前の私は本当にどこかへ行きたかった、見知らぬ電車に飛び乗って知らない町へと行きたかった、毎日おんなじ風景の通学路に嫌気がさしてた、「ここじゃないどこか…
あらやだ、死に場所もわからずにここまでやってきたの、ここに墓標を立てるつもりなの。あらそう、あなたここで死ぬのね、かなしい、って言えばいいのかしら、私あなたの死についての言葉を持ち合わせていないのごめんなさい。それでも多少の事はわかるわ、…
たすけてたすけてたすけて、頭が痛いしびれるようだめまいがするここは宇宙、目と鼻の先で星がはじけたとこ、ピカピカのキラキラは砂となって光となってわたしの顔に降り注ぐ、世界は反転してぐるりと回って混ざりあって全てが等しくなる無になる、まぁぶる…
『ぼくたちは何だかすべて忘れてしまうね』 失ったものよりも得られるものの方が大きい、って話はよく聞くけど、そんな都合良く感情に整理がつくわけない。引っ越すんなら荷物は捨てなきゃならないし、進化を遂げたら昔の殻は脱ぎ捨てる、先に進むなら取捨選…
また、一つ星が消滅してしまったのだ。星が消える瞬間はいつも静かで、だから、いつまでたっても私はその一瞬を見逃してしまう。もうじき終わるだろう、とは分かっていたのに、こちらへ届く光が前よりずっと弱々しくささやかであったのは知っていたのに、見…
適当な電車に乗って、始発駅から終点まで揺られる遊びをしていた。 始発であるその駅は、典型的なニュータウンで、比較的新しめの四角いマンションや、ビルや、おしゃれなショッピングモールが乱立している所だった。そのくせ、少し遠くを眺めると鬱蒼とした…
「いや、あなたとあの人が実は似てるのはなんとなく分かってたけどさ」 いやさね、確かに似ているのかもしれないと思ったことは何度かはありますよ、例えば、誰かが言った言葉とかテレビの口調を気軽に真似してしゃべるとか、誰かに語りかける時の言葉の出し…
理想論として挙げるならば、全人類が消え失せた世界で、私1人が静かに生きていて、砂の城が崩れるみたくコンクリのビル街が、小学校が、コンビニが、君がいたはずのマンションが、ほろほろと崩壊していく様子が見たい。その粒子はさらさらと風になびくだろう…
生きるのは義務ではないが、今までの自分を全て否定してしまうのは罪であり、冒涜だ。なんて適当にでっち上げてみた。なんで、死んじゃいけないの、って屋上が好きなあの子に聞かれた時の答えを探している。きっとこれじゃあの子は納得出来ないね。まだ、届…
嫌いだから殺すのか、好きだから殺すのかでずいぶんと人間性が変わってくると思うのだが、(ってか、そもそも殺す時点で人間性はかなり問われている)嫌いだから死ぬ、か、好きだから死ぬ、の二つが今の流行りなの?そんな気がするそれだけだけど。憎しみで人…
未来を知ることが出来る、と言われても別にどうでもいい。タイムマシンで未来に行こうよ!とかなっても多分断るだろう。それはひたすら後ろ向きな理由で今がいいから。今のままでいたいからに過ぎない。あ、占いとかは好きです。さほど当たらない割に、緩や…
あれ、もう一週間が過ぎるの?と思ったのは何故だろうか。あれ、詩のボクシングの谷川俊太郎に物凄く衝撃を受けたのはいつだっけ、あぁ、もう一昨日の話だなんだそうなんだ。あれ、図書館の帰りに会いたくない人に会ったのはいつだっけ、なんだ、一昨昨日の…
唐突に一人暮らしがしたくなって、賃貸をつらつらとみる遊びをしていた。賃貸は安い順に見ていくと到底人間など暮らせないのではないか、と思えるボロアパートとかが出てきてかなり面白い。窓ガラスがすりガラスだったり、エアコンが縦長い壁にひっついてる…
自主性という名のもとに成り立った強制労働が大嫌いである。多分、もちろんのこと、殆どの人が嫌いであろうけれど。好きなことやっていいんだよ、って言いつつも暗黙のルールがあって、そのレールからは絶対外れてはいけない、無言の圧力。そういうのあると…
団地やマンションのような、住居が究極に密集したあの四角い箱が好きなのだけれど、その理由というか、それに抱く気持ちをどう説明すればいいか考えていて、いつもぼんやりと自分にプレゼンをしている。もっとも、外見が好きというのは前提条件として存在し…